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このプロジェクトは「一体、いつになったら終わるんだ?」

あれはプロジェクト・マネジャーなりたての頃でした。その頃の私は小さいながらもいくつかのプロジェクトで成功を重ねていたこともあり、自信に満ち溢れていました。

ちょうどその時に任されたのが、社内で多くの人が手を焼いていたトラブルプロジェクトの火消し役です。出来上がったシステムの品質も悪く、要求を満たしていないだけでなく、お客様との関係も相当に悪化していました。

私はこのプロジェクトを任されて俄然燃えました。「自分が何とかしてやる」という強い気持ちがありました。

しかし、実際には火に油を注ぐ結果を招いてしまったのです。

これまでプロジェクト・マネジャーとして、しっかりとした勉強をしたことがなく、経験や勘に任せてプロジェクトを進めた結果、当初以上の大惨事になってしまったのです。

 

その時に上司に受けたお叱りの言葉が「一体、いつになったら終わるんだ?」でした。これまでの自信が打ち砕かれた瞬間です。しかし、どうすればいいのか分かりませんでした。

 

クリティカル・パス

こんな私だったからこそ、今、プロジェクト・マネジャーとしてご活躍の皆さんにお伝えしたいことがあります。

それは、クリティカル・パスという考え方です。

クリティカル・パスとは、プロジェクトでやるべき全ての仕事に順序をつけた結果、全ての経路の内で最も時間を要する経路のことを言います。このクリティカル・パスは、プロジェクトの全ての作業を終えるための最短の所要期間となるため、これが分かると最終的にどのくらいの期間がかかるのかの見込みを算出することができます。

もし、当時の私がこのクリティカル・パスという考え方を知っていれば、プロジェクトを終了させるために必要な期間を現実的に算出することができたはずです。そして、トラブルプロジェクトをさらに悪化させ、上司に叱られることもなく、お客様に多くのご迷惑をお掛けすることもなかったのだろうと思います。

しかし、知っていれば必ず役に立つ知識にも関わらず、このクリティカル・パスを正しく理解している方が非常に少ないようです。例えば、言葉としては聞いたことがあるけど、意味がよく分からない方、もしくは誤解している方がいらっしゃいます。

クリティカル・パスは知っていれば必ず役に立つ知識です。

もしかしたら、私と同様に経験や勘に任せて仕事を進めているうちに、大きな失敗をしてしまうこともあるかもしれません。

今やっているプロジェクトや今後任されるプロジェクトを成功させるために、実現性の高いスケジュールを作成する手法としてクリティカル・パスについて、この機会に身につけてはいかがでしょうか。

 

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